
インプラントのメリットと入れ歯のデメリット
兵庫県姫路市の歯医者 溝井歯科医院
歯科医師 院長の溝井優生です。
インプラントと入れ歯、どちらも歯が失われた時の選択肢ですが、それぞれに特徴があります。どちらが自分に適しているかを判断するためには、双方のメリットとデメリットを理解することが重要です。この記事では、特にインプラントのメリットと入れ歯のデメリットについて詳しく解説してみたいと思います。
目次
- インプラントの基礎知識
- インプラントのメリット
- 入れ歯のデメリット
- インプラント治療の流れと費用
- インプラントと入れ歯の選び方
- まとめ
インプラントの基礎知識
インプラントは、失った歯の根の代わりとなる人工歯根をあごの骨に埋め込む治療法です。この人工歯根は通常、チタン製で、生体親和性に優れています。骨としっかり結合するため、非常に安定した状態を保つことが可能です。上部にはセラミックや金属を用いて作られた人工歯を装着し、自分の歯と同様の見た目と機能を持たせます。
インプラントの治療は通常、手術を伴い、埋入後に骨との癒合を待ちながら、数ヶ月の調整期間を経て完了します。このプロセスによって、通常のブリッジや入れ歯よりも強度と安定性が得られるのが特徴です。
インプラントのメリット
インプラントの最大のメリットは、まるで自分の歯のように感じられるという点です。噛む力が強く、硬いものでもしっかりと噛むことができ、食事の楽しみを損なうことがありません。また、装着後の感じも自然で、会話や笑顔に影響を与えることはほとんどありません。
さらに、インプラントは隣の健康な歯に影響を与えない点が大きな利点です。ブリッジ治療の場合、支えとなる健康な歯を削ることがありますが、インプラントはそれを必要としません。そのため、周囲の歯の健康を長く保つことが可能です。
また、インプラントはあごの骨の維持にも貢献します。歯が失われた後、その部分の骨は徐々に退縮しますが、インプラントを埋入することで刺激を与え、骨の維持が図られるため、顔の輪郭を保つ効果も期待できます。
入れ歯のデメリット
入れ歯のデメリットとしてまず挙げられるのは、その装着感です。入れ歯はしっかり固定されず、食べ物を噛む時にグラついたり、話す際に浮いたりすることがあります。これは、特に長期間使用するうちに顕著になり、ストレスの原因となることも少なくありません。
また、入れ歯は取り外し可能ですが、日々のケアが必要です。歯磨きだけでなく、専用の洗浄剤での浸け置き洗浄が推奨され、細菌の繁殖を防ぐ必要があります。これに対してインプラントは通常の歯磨きと同様にケアが可能で、負担が少ないです。
さらに、歯茎や骨の状態によっては入れ歯が合わなくなることもあります。あごの骨がやせ細ると入れ歯が適合しづらくなり、新たに作り直す必要が出てきます。このような手間がかかる点もデメリットの一つと言えるでしょう。
インプラント治療の流れと費用
インプラント治療は一般的に、初診から最終的な歯を入れるまで数ヶ月かかります。初回の診断では、レントゲンやCTスキャンを用いてあごの骨の状態を確認します。そして、あごの骨にインプラントを埋入する手術を受けます。
手術後、骨とインプラントがしっかりと結合するまでおよそ3~6ヶ月待ち、その後に上部構造として人工歯を装着します。この間、仮歯を装着して見た目を気にせず日常生活を送ることが可能です。
インプラント治療の費用は、1本あたり30万円から50万円程度が一般的ですが、歯科医院の場所や設備、患者さんの口腔状態によって異なります。医療費控除の対象にもなりますので、ご負担の一部を控除できる可能性があります。
インプラントと入れ歯の選び方
インプラントと入れ歯の選びは、患者さんの口腔環境や生活スタイル、経済的な負担を考慮しながら慎重に行うことが重要です。インプラントはあごの骨が十分にあることが前提となりますが、骨が薄い場合でも骨移植などで対応可能なことがあります。一方、入れ歯は骨の状態とは関係なく装着できますが、安定性に劣ることがあるため固定力を高める技術が必要になることがあります。
経済的な側面でも考えてみましょう。インプラントは初期費用が高額ですが、長持ちすることから、長期的に見れば経済的なメリットもあります。入れ歯は比較的安価に始められますが、定期的な調整や作り直しが必要になることがあります。
生活スタイルや価値観も大切です。食事を存分に楽しみたい方、あるいは見た目を重視される方にはインプラントが向いていますが、手術に抵抗がある方や、とりあえず簡単に始めてみたい方には入れ歯が選ばれることが多いです。
まとめ
インプラントと入れ歯、それぞれに一長一短があります。このため、何を重視するかが選択の鍵となります。噛む力を取り戻したい、見た目を気にしたい、骨の健康状態を保ちたい場合には、インプラントは非常に魅力的な選択です。しかし、手術に対する不安や費用の問題がある場合には、入れ歯も一つの選択肢として検討できます。どちらを選ぶにしても、自分に合った治療方法を専門医と相談しながら進めるのが最も良い方法です。歯を失った後の生活がより豊かになるよう、自分のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。