こんにちは。兵庫県姫路市の歯医者、溝井歯科医院 歯科医師 院長の溝井優生です。
透明で目立ちにくく、取り外しができることで人気のマウスピース矯正(インビザライン)。ワイヤー矯正に比べて見た目のストレスが少ないことが最大のメリットですが、一方で、患者様ご自身による管理が非常に重要な治療法でもあります。
特に気をつけていただきたいのが、虫歯と着色のリスクです。マウスピースは歯をすっぽりと覆う構造のため、もし汚れや糖分が残ったまま装着してしまうと、歯が汚れのパックをされているような状態になり、虫歯菌や着色汚れが急速に定着してしまいます。
せっかく歯並びがきれいになっても、装置を外したら歯がボロボロだったり、茶色く変色していたりしては、元も子もありません。今回は、矯正中の歯とマウスピースを守るための正しいお手入れ方法と、よくある飲み物に関する疑問について、詳しく解説していきます。
目次
- なぜリスクが高い?マウスピースが作る密閉環境の怖さ
- 質問回答:飲み物は水以外NGですか?コーヒーはどうすれば?
- マウスピース自体の正しい洗い方:歯磨き粉は使っていい?
- 食後のケアが命!外出先で歯磨きできない時の対処法
- まとめ
1. なぜリスクが高い?マウスピースが作る密閉環境の怖さ
通常、私たちのお口の中は唾液によって守られています。唾液には、食べカスを洗い流す自浄作用や、酸性に傾いたお口の中を中和して歯を守る作用、再石灰化を促す作用などがあります。
しかし、マウスピースを装着すると、歯の表面がプラスチックで覆われてしまうため、歯に唾液が行き届かなくなります。この状態で、もし歯とマウスピースの間に糖分や酸、汚れが入り込んでしまうと、唾液による防御機能が働かず、細菌が繁殖し放題になってしまいます。これが、マウスピース矯正中に虫歯や歯周病のリスクが高まる最大の理由です。
また、着色(ステイン)に関しても同様です。コーヒーや紅茶などの色素が入り込むと、逃げ場のない色素が歯に浸透しやすくなり、普段よりも黄ばみや茶渋がつきやすくなってしまいます。
2. 質問回答:飲み物は水以外NGですか?コーヒーはどうすれば?
患者様から最も多くいただくご質問の一つが、飲み物のルールについてです。
飲み物は水以外NGですか? 原則として、マウスピース装着中に飲んで良いのは水(常温または冷水)のみです。 お茶や無糖の炭酸水なら良いのでは?と思われるかもしれませんが、お茶(特に緑茶や紅茶、ウーロン茶)は茶渋による着色の原因になります。また、炭酸水は酸性度が高いため、長時間歯に触れているとエナメル質が溶ける酸蝕歯のリスクがあります。ジュースやスポーツドリンクなどの糖分を含む飲み物は、虫歯リスクを劇的に高めるため厳禁です。
コーヒーはどうすればいいですか? コーヒーは着色の二大原因(もう一つはタバコ)の一つですので、基本的にはマウスピースを外してから飲んでください。 どうしても装着したまま飲みたい場合や、仕事中などで外せない場合は、ストローを使って歯に触れないように喉の奥へ流し込むという裏技もありますが、完全に防ぐことはできません。また、熱いコーヒーはマウスピースを変形させる恐れがあるため絶対に避けてください。 もし装着したままコーヒーやお茶を飲んでしまった場合は、その後できるだけ早くマウスピースを外し、お口をゆすぎ、マウスピース自体も水洗いしてください。
3. マウスピース自体の正しい洗い方:歯磨き粉は使っていい?
歯だけでなく、マウスピース自体も毎日のお手入れが必要です。汚れたマウスピースを使い続けることは、口臭や虫歯の原因になります。
洗い方の基本 指で優しくこすり洗いをするか、柔らかい歯ブラシを使って、流水(水かぬるま湯)で洗ってください。熱湯を使うと変形してしまうので、絶対に避けてください。
歯磨き粉はNG 普段使っている歯磨き粉でゴシゴシ洗いたくなりますが、これはおすすめできません。ほとんどの歯磨き粉には研磨剤が含まれており、これで磨くとマウスピースの表面に細かい傷がつきます。その傷の中に細菌や汚れが入り込み、かえって白く濁ったり臭くなったりする原因になります。洗うときは水洗いのみか、台所用の中性洗剤を薄めて使うのが無難です。
洗浄剤の活用 ニオイや着色が気になる場合は、マウスピース専用の洗浄剤(タブレットや泡タイプ)を使用しましょう。1日1回、食事中などに漬け置きしておくだけで、除菌・消臭ができます。
4. 食後のケアが命!外出先で歯磨きできない時の対処法
マウスピース矯正の鉄則は、食べたら磨く、そして装着するです。しかし、外出先や学校、職場などで、どうしても食後の歯磨きができない場面もあるでしょう。
その場合の対処法として、最低限行っていただきたいのが強いうがいです。 水を含んで、お口の中で強めにクチュクチュとゆすぎ、食べカスや糖分を洗い流してください。そして、マウスピースも軽く水洗いしてから装着します。
これはあくまで緊急時の対応ですので、家に帰ったらすぐにマウスピースを外し、ご自身の歯もマウスピースも丁寧にブラッシングしてリカバリーすることが大切です。フロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れまでしっかり落としましょう。
まとめ
マウスピース矯正中のお手入れと飲み物のルールについて解説しました。
- マウスピース装着中は、唾液のバリアが働かないため、虫歯や着色のリスクが高い。
- 装着中に飲んで良いのは水のみ。お茶やコーヒーは着色、ジュースは虫歯の原因になる。
- コーヒーなどを飲む際は外すのが基本。やむを得ず飲んだ場合は早めに洗浄する。
- マウスピースを洗う際は、熱湯と歯磨き粉(研磨剤入り)は避ける。専用洗浄剤がおすすめ。
- 食後は歯磨きが必須だが、できない時はうがいで汚れを減らし、後でしっかりケアする。
少し面倒に感じるかもしれませんが、これらを習慣にすることで、矯正終了時の歯の美しさが格段に変わります。
兵庫県姫路市の溝井歯科医院では、矯正治療中のクリーニングやブラッシング指導にも力を入れています。もし着色が気になってきた場合は、定期検診の際にプロによるクリーニングできれいに落とすことも可能ですので、お気軽にご相談ください。美しい歯並びと健康な白い歯を、一緒に目指していきましょう。